〈コンセプト・特色〉
誰も取り残さない地域を目指し、介護保険外サービスで外出支援や入浴介助の有資格者の派遣を行う団体です。
〈概要〉
信州諏訪地域を中心に、諦めない人生(たび)のお手伝い「できることではなく、やりたいことを」をモットーに、有償にて活動を行う団体です。主にユニバーサルツーリズムのお手伝いを行っており、心のバリアフリーを広めるセミナーも多数開催しています。ヘルプマークの普及については、長野県知事より「ヘルプマークディレクター」の称号を委嘱されています。
〈運営主体〉
「ユニバーサル・サポートすわ」(通称:ユニサポすわ)任意団体として活動しています。元々、病院・介護施設などに勤務する有資格者(看護師・介護福祉士・ケアマネジャー・PT/OT・保育士など)が対応をしています。”福祉と医療でおもてなし”がモットーです。
〈取り組みをスタートした時期〉
2016年9月1日
〈取り組みをスタートしたきっかけ〉
私は、長年介護業界で仕事をするなか、2016年に脳梗塞を2度発症してしまいました。介護の現場を離れなくてはいけないという挫折の淵に立ちながら、介護職・相談員として今まで経験してきたことが、何かのお役に立たないかと奮い立ち、着地型のユニバーサルツーリズムで介助ができる仕組みを構築しました。
信州型の介護人材の質の向上として、外出支援に特化した、座学と実地で学ぶ研修を行っています。長年、有料老人ホームやサ高住の相談員を勤めていたので、介護保険だけでは足りない介護保険外サービス(自費)の必要性に気づいていたことが、そのきっかけです。
〈運営コスト〉
活動は有償で、対価をいただいています。しかし、コロナ禍で現在は無収入となっています。ユニバーサル・サポートすわは、観光業でも福祉でもないといわれ、支援金は何もない状態です。
〈運営に必要な費用概算〉
2020年から全て自己負担
〈運営資金の確保〉
自費、介護保険、その他の公的補助、自治体予算
〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉
介護保険外(自費)のサービスが、なかなか浸透しませんでした。当初は高齢者のみを対象としていましたが、対象を障がい者(児)にも広げ、地域の養護学校へ外出弱者支援のボランティアに行くようになりました。そこで、閉鎖的な環境の寄宿舎で生活している生徒さんやご家族、教師の皆さんと心の通う関係が生まれ、心のバリアフリーも生まれる結果となりました。
また、基礎疾患のある方や移動困難者に外出ができた気分になってもらうために、季節の写真を動画にしてYouTubeで公開したり、DVDにして配布したりしました。デイサービスや訪問などでレクレーションに利用され、喜んでいただきました。
〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉
長野県の後押しもあり、福祉教育(心のバリアフリー教室)を多数開催し、講演会にも登壇できるようになりました。信州型ユニバーサルツーリズムの普及にも繋がっています。メディアにも登場する機会が多くなり、問い合わせ件数も増えました。
高齢者が家に引きこもることで、認知症が進行したり、フレイル予防が全くできていなかったりすることに危機感を感じ、要支援者の支えになれるようにと訪問介護事業所を立ち上げました。
〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉
コロナ禍で、外出ができる状態ではなくなっています。受け入れ施設も自粛したり、利用者側も警戒して利用を控えてしまったりしています。ユニバーサルツーリズムは、現在全く活動できていません。マイクロツーリズムで、地元の障がい者や高齢者に地域をどう楽しんでいただけるか検討しています。資金不足が悩みです。
〈持続させるための仕組みや工夫など〉
ユニバーサルツーリズムは、SDGs(持続可能な開発目標)の「11.住み続けられるまちづくりを」「3.すべての人に健康と福祉を」「4.質の高い教育をみんなに(福祉教育)」「10.人や国の不平等をなくそう」を持続目標に掲げていきたいと思っています。心に寄り添うことは、する側もされる側も喜びだと思います。みんなの笑顔が喜びです。
〈今後のビジョン〉
ハード的なバリアフリーは、お金もかかり、現実的な話になることに時間もかかってしまいます。しかし、心のバリアは気持ちひとつですぐに超えられます。バリアと共存し乗り越える“バリアパス”のできるコーディネーター的な存在として、人的サポート(介護)で心地よい時間を提供できたらと思っています。日々を一生懸命生きている、この時代の高齢者や障がい者(児)の支えになれる人材でいたいと考えます。
■事業名:ユニバーサルツーリズム
■事業者名:ユニバーサル・サポートすわ
■取材協力者名:牛山 玲子(ユニバーサル・サポートすわ代表)
■事業所住所:〒391-0011 長野県茅野市玉川11048-1