〈コンセプト・特色〉
互助をICTがサポートする発想で生まれた見守り事業
〈概要〉
「みまもりあいプロジェクト」が実現しようとする「地域の姿」は、「何かあれば、ご近所同士で当たり前のように直接連絡を取り合うことができて、お互い様で、みんなで緩やかに助け合える姿です。認知症の一人歩き発生時に、地域の「互助」を活用して、アプリを通じて協力者に捜索依頼が可能で、個人情報を保護した状態で、発見した協力者とご家族が直接フリーコールで連絡を取り合うことができます。現在、アプリダウンロード数は100万件です。
〈運営主体〉
「社団法人セーフティネットリンケージ」
「みまもりあいプロジェクト」を運営する社団法人セーフティネットリンケージは、非営利団体で産学連携により展開しています。各地域の地元大学や病院と連携して、テーマ別に共同研究等に取り組みながら機能強化と展開地域の拡大をしています。研究テーマの例としては、京都大学との地域医療BCP、千葉大学との観光防災、国立長寿医療研究センターとの広域見守りなどがあります。
〈取り組みをスタートした時期〉
2017年4月1日
〈取り組みをスタートしたきっかけ〉
私の祖父が認知症で、一人歩きをして保護されたことがきっかけになりました。ご近所同士で近所の方は父の顔は知っているけれど連絡先がわからず、結局、警察を経由して保護されたという経験があり、個人情報を保護した状態でも直接連絡し合える仕組みがあればと思って開発しました。
〈運営コスト〉
非営利団体として運営しており、会費で対応しています。社会貢献活動であるため、多くの方からご支援いただいております。各地域で特色が異なるため、各地域の大学、病院、自治体、非営利団体など連携先に合わせて展開しています。
〈持続させるための仕組みや工夫など〉
市民主体型で楽しく広げていくことができるように工夫しています。見守りにおいて、これからの時代の主役になる子どもたちとそのご家族が楽しく参加できるように、アプリには大切な人をみんなで探すスタンプラリー形式の見守り訓練機能を付与しています。
地域の商店会や病院、地域包括等で実施していただけるようにしたことで、2019年は口コミで年間100本、約2万人が見守り訓練に参加しました。多世代型による見守り訓練が全国各地に自発的に広がって、見守り合える町ができればと考えています。
〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉
非営利団体なので、株式会社のように資金調達等はできないのですが、立ち上げ当初は「ポイントもつかないし、ゲーム性もない、日本人は忙しいし、無数にあるアプリから誰がこのアプリをダウンロードするのか?」とネガティブな言葉をいただいたこともありました。
PLを考えるよりも、①社会的に必要な取り組みである、②互助と個人情報の関係性や互助の可能性は検証してみたい研究テーマで価値がある取り組みである――と思い事業を立ち上げました。
互助×ICTの視点は、「地域共生支援」において不可欠な要素です。当社団の活動は、1つの大学に偏ることなく、各地域の大学からバランスよくご支援いただけています。また、アプリのダウンロード数においても、約80社近くのメディアに取り上げていただいたことで、口コミで広がる基盤ができました。プロモーションコスト0円で拡大に成功しています。
〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉
互助を頼る仕組みとするために、非営利団体で立ち上げてよかったと感じています。地域の方々(大学・病院・自治会・非営利団体等)からお力をもらえているのは、自分たちの活動が純粋に地域の課題と向き合うことができているからだと認識しています。非営利団体としてPLよりも社会貢献を優先できることが、今までにない新しいアイデア・技術を生み出せていると認識しています。
■事業名:みまもりあいプロジェクト
■事業者名:社団法人セーフティネットリンケージ
■取材協力者名:高原 達也(社団法人セーフティネットリンケージ代表理事)
■事業所住所:〒005-0832 北海道札幌市南区北ノ沢1-11-41