〈コンセプト・特色〉
健康づくりのフィットネスを通して、コミュニケーションと活力向上を図り、地域共生社会に寄与する
〈取り組みの概要〉
職場単位で10分ランチフィットネス®やパラディソ体操®を行うアクティブレストサービス。運動プログラムは、からだほぐし・ニコニコペース®の有酸素性運動(福岡大学の医学部とスポーツ科学部の協働研究により、生活習慣病の予防や改善・認知症に対するエビデンスがある)・筋強化・ストレッチング・マインドフルネスの構成です。
その提供方法は、①指導者派遣、②現場職員の指導者養成、③DVDとwebによる動画配信の3つがあります。このサービスの特徴の一つは、健康コミュニケーターという、運動提供の場を設営する担当の存在です。また、アクティブレスト®は、産業医科大と福岡大学に依頼した調査研究で、コミュニケーションと活力と生産性が向上するというエビデンスをもち、産業衛生学会で受賞、米国産業医学誌に掲載されています。
〈運営主体について〉
「株式会社スタディオパラディソ」
1986年に現在代表取締役の森山暎子が創設しました。「身体とマインドと精神性のバランス」をとる靭やかな人々と共に、チャーミングな地域社会を創造することを理念に活動をしています。
「10分ランチフィットネス®(立位編・座位編)」と「パラディソ体操®」の2種の運動プログラムを用いたサービス(運動の提供・指導者育成・ライセンスの提供)を、高齢者施設・クリニック・自治体・地域の公民館・運動施設・一般企業等の法人と、自社スタジオに参加の個人に行っています。2012年3月に森山が創設した一般社団法人10分ランチフィットネス協会が開発した10分ランチフィットネス®を使ったアクティブレスト®の商標と事業は、2020年6月に株式会社スタディオパラディソに移管しました。
〈取り組みをスタートした時期〉
2012年3月30日
〈取り組みをスタートしたきっかけ〉
2009年に代表の森山が入学した、九州大学大学院統合新領域学府ユーザー感性学専攻での研究がきっかけです。地域共生・持続可能な高齢社会を支える、運動実施率が低い20代から50代の運動促進として、まちの公開空地で昼休みに10分ランチフィットネス®(従来のパラディソ体操®をベースにしたプログラム)を行うことを提案。福岡市とまちづくり団体と企業の協力を得て8,000人のリサーチを行い、運動プログラムの型をつくりました。
2012年に一般社団法人10分ランチフィットネス協会を立ち上げ継続的に活動を行い、2015年より、経産省が主導の健康経営を推進する企業に導入を推進するために、10分ランチフィットネス®を使ったアクティブレスト®サービス導入による効果測定を、産業医科大に調査研究を依頼。そのエビデンスをもとに、企業に導入の働きかけを行っています。
〈運営コスト〉
アクティブレスト®開発に至るまでは、一般社団法人10分ランチフィットネス協会の理事個人の自己資金と、指導者養成料金、企業からの健康講座の依頼、勤労者の運動実施率向上を目的とした企画と運営および調査研究事業の依頼を自治体や大学より受託した資金で運営をしていました。
アクティブレスト®開発後は、導入企業からの委託費で運営。アクティブレスト®事業を強化・拡大するために、両社合意の上、株式会社スタディオパラディソに移管しその資源を活用して、運営を継続中です。活動に賛同する法人や、運動指導者にはライセンスを付与し、連携協働で売り上げを上げ、創意工夫をしながら社会に役立ちたいです。
〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉
当初、企業にとっては、CSRとして地域に運動の機会創出の場をつくり、また、従業員の運動参加で医療費削減という立て付けで、昼休みに公開空地で行う「10分ランチフィットネス®」を広げていきたいと考えていましたが、企業の人事担当者は、運動不足は心身の健康問題を引き起こす要因の一つであり、取り組み自体は賛同しつつも、従業員の自由時間に強制力を働かせて参加させることは困難であり、負担が大きい業務であるということがわかりました。
ユーザー目線で、企業の取り組みとして、導入するメリットを考え、リフレーミングしたのが、アクティブレスト®です。
経産省推進プロジェクト「健康経営」の座長を務める産業医科大の森晃爾教授のプレゼンティーズム等をはじめとした講演受講をきっかけに、アクティブレスト®導入で、「コミュニケーション・活力・生産性の向上する」という仮説で産業医科大に調査研究を依頼し、効果測定を行ったことで、導入に耳を傾けてくださる企業が増えていきました。
〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉
・2021年1月のこのコロナ禍において、金融系企業様の熱心な産業保健師からオファーを受け、安全衛生委員会を通して、九州全域の支店1,300人を対象に、1カ月間のみのアクティブレスト®導入となりました。アンケートの詳細結果によると、実施後の変化について500名が「気分転換になった」、100名が「職場でのコミュニケーションの機会が増えた」をはじめ、体調や睡眠の改善、禁煙等の健康行動への変化の回答の結果も含め、想像以上の結果が出たため、次年度は全国の関連団体も視野に入れて導入を考えたいとの結果を嬉しく思っています。また、2020年6月にリモートワークの方もできるように、新たに準備したWeb配信による50種のプログラムの導入も検討されています。
・本質的な問いを続けつつ、リフレーミングしてきたプログラムと仕組みの実施。これまで導入いただいた現場のフィードバックが実績となり、導入をお考えの他企業様の参考資料になっていること
・活動理念を共有する、本部マスターインストラクターおよび教育トレーナーを、最初に養成したこと
〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉
・導入企業様が現在わずかで目標の売り上げにつながっていないため、営業スタッフの採用ができないこと
・営業力の不足、連携協業企業を見つけたい
・職場単位でグループで行うフィットネスプログラムであるため、3年継続の企業様が、このコロナ禍で2020年度は見送られ、次年度は、様子を見て判断するといった状況
・健康経営の考え方が少しずつ広がっていると思っていたが、健康は、すべて自己責任であると企業の経営陣が公言するといった話を、お問い合わせをいただく産業保健師から聞くことが度々あるため、働く環境づくりの改善に寄与したいが、道が険しいと時々ため息が出ることがあります
・運動不足を認識し、実施した方がいいと思っているがそれができない方へいかに届けるといいのか
・社会に運動実践のさまざまな価値を知っていただく有効な方法
〈持続させるための仕組み、工夫〉
■運営体制について
・活動理念を共有し、その目的に向かってともに行動する多様なチームメンバーの存在
・指導者養成を増やすこと
・地域共生を目的にしている活動であることも含め、情報発信を継続すること
■アクティブレスト®サービスの内容について
・アクティブレストという文化を広げているという考え方で推進
・導入企業担当者が困っている問題や課題を一緒に解決できるよう行動すること
・導入企業の中に担当者のみならずこのプロジェクトに自分事として楽しくかかわるメンバーをつくること
・導入企業の経営陣が、関与すること
・組織においてささやかな強制力を働かせること
・運動をメインに行うのではなく、メインの効果を上げるためのサブ的存在として工夫を続けること
〈今後のビジョン〉
人生100年時代に、心身を整え自律的にその人らしく生き生きと働く高齢者が増えるために、健康な働く環境づくりを世界に広げていきたいです。
PURPOSE:
・「身体とマインドと精神性のバランス」をとる
・靭やかな健康人と共に、チャーミングな地域社会を創造する
VISION:どのような世界をつくりたいか?
激動する世界の中で、靭やかに生きる健康人が増えて、未来に向けて挑戦するコミュニティーが広がり、生き生きと躍動的な世界が広がっている
■パラディソが考える「健康人」の定義:
病気や障がいの有無を問わず、身体的・精神的・社会的に、その人らしくいきいきと暮らしている人
・身体とマインドと精神性のバランスを考え実践する人
・家族や社会に健康な環境を与える人
・地球環境の保全に積極的な人
■事業名:アクティブレスト®(積極的休養)でチャーミングな地域創造
■事業者名:株式会社スタディオパラディソ
■取材協力者名:森山 暎子(株式会社スタディオパラディソ代表)
■事業所住所:〒815-0071 福岡市南区平和1-2-23 森山ビル2階