〈コンセプト・特色〉
住み慣れた地域で充実して暮らし続けるための仕組みづくり
〈概要〉
地域支援事業が始まる前から、地域で要介護高齢者を抱える家族の介護負担を軽減するために、デイサービス、ショートステイを始めました。認知症の高齢者については、ユニットケアの走りであるファミリーケア、日中出かける逆デイサービス、やすらぎの家という小単位の民家改装型のデイサービスを始めました。近年では、地域共生社会の実現に向け、一般社団法人WheeLog!とコラボした車いすユーザーの街歩きに取り組んだり、共生型サービスを目指して市内障害者事業所と連携したりしています。
また、認知症ケアを輸出し、台湾、中国をはじめ、アジア圏、ヨーロッパに展開しています。地域の人が一人で介護で悩まないようにラジオ番組をつくったり、無料相談窓口などを設置したりしています。
〈運営主体〉
「社会福祉法人小田原福祉会」特別養護老人ホーム潤生園草創期には時田純、令和の現在は、施設長の井口健一郎が担っています。街歩きイベントについては、一般社団法人WheeLog!のほか、神奈川県西リハビリテーション連絡協議会と一緒に行っています。
〈取り組みをスタートした時期〉
1978年5月5日
〈取り組みをスタートしたきっかけ〉
当会が特別養護老人ホームを創設した時に、玄関で家族の帰りを待っているおばあちゃんがいました。しかし、そのおばあちゃんの家族はアメリカに移住してしまいました。当時の理事長は、「私がこんなものを作ったから家族を引き裂いてしまった」と大変後悔しました。
その後、地域の自治会長と一緒に、介護でお困りのご家庭はないか、地域を一軒一軒訪問しました。その際、お風呂に入れることに困っているという声を多く聞いたため、入浴を中心としたデイサービス、そして、たまには家族も休息が必要ということからレスパイト目的のショートステイを自主的に開催しました。その取り組みが大きな運動となり、制度を動かすきっかけになりました。
〈運営コスト〉
過去には措置費、現在では介護報酬を基本としていますが、助成金なども活用し、イベント主催時には参加者からも参加費を徴収しています。
〈運営に必要な費用概算〉
その都度変わります。
〈運営資金の確保〉
自費、介護保険、その他の公的補助
〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉
トライ&エラーの連続です。うまくいかなかったこと、時期早尚であったこともあります。
〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉
ワンフロア29人が参加する遠足を行いました。実は訪れた先は、もともと当施設の利用者が地主として土地を貸し、博物館が建てられた場所で、博物館建設後には毎日草木の手入れをしていたところです。そこに、フロアの利用者みんなで出かけていったため、100歳で重度の認知症のあったご本人も非常に嬉しそうでした。ご家族も大変喜んでくださいました。
〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉
現在、共生型サービスに向けた取り組みを進めています。障害のある子どもをもつご両親が80歳代になり、要介護状態になった場合、子どもと引き裂かれてしまう現実をなんとかできないかと考えています。
〈持続させるための仕組みや工夫など〉
ビジョン、計画、連携と資金面でも、人材面でも基礎体力が必要です。
〈今後のビジョン〉
生きづらさを抱えている地域の人に、充実して暮らしていただけるような仕組みをつくりたいと思います。
■事業名:地域におけるソーシャルワークの実践
■事業者名:社会福祉法人小田原福祉会
■取材協力者名:井口 健一郎(社会福祉法人小田原福祉会 特別養護老人ホーム潤生園施設長)
■事業所住所:〒250-0053 神奈川県小田原市穴部377
■サイト:junseien.jp