〈コンセプト・特色〉
美容を用いた心と身体のリハビリ
〈運営主体について〉
「株式会社reborn.」
一般社団法人日本保健福祉ネイリスト協会に所属し、東京新宿校を運営しています。 全国に認定校が39校、福祉ネイリスト600名程で活動しています。
新宿校では介護知識やネイル技術だけではなく卒業後に活動できるよう宣伝、営業サポートにも注力しています。
事業所の株式会社reborn.では、コロナ禍でも学習ができるようオンライン学習動画の作成もしています。ネイル以外の介護美容技術の習得もできるよう、各分野の講師にもご協力いただいています。
〈取り組みをスタートした時期〉
2017年9月12日
〈概要〉
東京23区、西東京を中心に埼玉県、千葉県、神奈川県などで活動しています。主に高齢者施設に訪問という形でネイルサービスを行います。ほかに障害者施設、地域コミュニティ、地域イベントなどに出店もしています。
福祉ネイリストはネイル技術と介護知識を勉強し、規定のカリキュラムを修了した者です。料金はボランティアから有償のもの、自費支払いとなります。
また、講師として美容レクリエーション、介護予防などのセミナーもしています。
〈取り組みのきっかけ〉
ネイル歴も長くなり、技術、接客ともにこだわりを持っていましたが、何か物足りなさを感じていました。持病を併発したこともあり、なぜこんな病になったのか、何か意味があるのでは、この経験から私に何かできることがないのかと、考えることが多くなりました。そんな折、母の介護が始まり母の爪を整え、また、闘病生活を送るお客様にネイルケアをしたときに、「前向きになれる」「すごくうれしい」と、涙を流して喜んでいただきました。きれいにするだけではない、その方が望み、前を向けるケアをする美容! 私自身とても感動し、体の奥底から何か熱いものが込み上げてくるのがわかりました。私がやりたいことはこれだ!! 持病、介護、ネイル、すべてがつながったと思い、福祉ネイリストの資格と認定講師資格を取得し、福祉ネイル東京新宿校を開校しました。
〈運営コスト〉
スクールよりも運営が長いネイルサロンでの収益、不動産による家賃収入などです。これらの資金を元にスクールの集客をしています。集客方法には、コストをかけずにSNSを活用し、継続させるためにもこれらをうまく使う努力をしています。
また、講師業、セミナーなどで認知活動もし、広く一般の方にも届く努力をしています。
〈運営に必要な費用概算〉
広告費などはかけていませんので、固定費用、光熱費などになります。月16万円程度です。
〈運営資金の確保〉
自費
〈持続させるための仕組みや工夫など〉
利用者に対しては、お一人おひとりに合わせたケアを心がけています。
時代背景などもありますので、美容に必要性を感じていない方もいらっしゃいます。 無理にネイルや美容はせずに、その方が求めているものを提供できる対応力が必要だと感じます。 短い時間で相手がどんな方なのか、どんな価値観や考えがあるのか、傾聴することでその方に寄り添えるのではないかと思います。
また、介護施設のスタッフへの気遣いも大切にしています。ご家族へ説明しやすいようにネイルサービス内容や期待される効果など、わかりやすい案内説明書を作成してお渡ししています。 施設内に掲示するポスターも作成し、スタッフの仕事を増やさない努力をしています。
〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉
福祉ネイリストになり、認定校を開校した当初は、周りにこのような活動をしている方が少なく、一人で活動していました。 ネイルの技術だけではご高齢者に寄り添うことができないことを痛感し、介護の勉強を始めたり、無理のない体勢でできる施術方法を考えたり、試行錯誤していました。 手探りで施設訪問をしていましたが、少しずつ協力してくださる施設が見つかり、この活動をとても応援してくださいました。
そのような思いや体験をSNSで発信し続けた結果、賛同してくれる方やネイルを習ってみたいという方が少しずつ増えてきました。 地道に続けることと、発信をすることが大切だと学びました。
〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉
長年サロンワークをしていますが、ネイルをすることで笑顔になり、気分が上がり、生活が楽しくなるというお声を多くいただきます。老人ホームでも、彩られた爪を見ながら会話が生まれ、周りの方も笑顔になるコミニケーションツールの一つになっています。 利用者、施設、周りにいる方、ご家族、ネイリストと、たくさんの人がきれいになった爪を見て、うれしそうにしています。
きれいなものを見ること、きれいになりたいという気持ち、きれいにしてもらうこと、美容はこんなにも人を輝かせるものなのだと日々感じています。 「きれいにしてくれて、ありがとう」。この言葉をいただくたびに、ネイルに出会い、ネイルに救われ、ネイルの仕事をしていることを誇りに思います。
〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉
コロナ禍により、今まで訪問していた施設に行けないこと。担当していた利用者の方がどうしているか気がかりです。 定期的に施設へは連絡をしており、スタッフさんも疲弊し先の見えない状況で大変なご様子を知り、何かできることはないか模索しております。
また、医療介護関係の方との交流も、なかなかリアルではできず、現場のお声を生でお聞きしたいと思っています。
リモートを使ったサービスもいろいろ出てきているようで、時代が変わっていく中で、施設での美容サービスもどのように変わっていくのか不安と期待があります。時代が変わっても人とのつながりや触れ合いはなくならないと思いますし、感染症予防対策をしながらコミュニケーションが取れるものができることを願っています。
〈今後のビジョン〉
これまでと同様に、利用者に対しては、お一人おひとりに合わせたケアを心がけていき、その方が求めているものを提供できる対応力を高めていき、寄り添っていきたいと思います。
介護施設のスタッフさんに対しては、業務の負担が増えないよう案内書の工夫を重ね、福祉ネイルを広げていきたいと思います。
■事業名:福祉ネイル東京新宿校
■事業者名:株式会社reborn.
■取材協力者名:安部 佳織(株式会社reborn.取締役社長)
■事業所住所:〒160-0023 東京都新宿区西新宿8-5-9-20B