〈コンセプト・特色〉
一般社団法人iACPの「もしバナゲーム」を活用した、人生におけるもしもの時のアドバンス・ケア・プランニングを考えて頂く市民向けの取り組みです。
〈取り組みの概要〉
名古屋市内を中心とした市民向けのACP普及啓発活動です。
2021年現在、各地の高齢者サロン、地域サロン等に赴いて、約500名以上の方々に、もしバナゲームとACP概論をわかりやすくお伝えしながら、一人一人の価値観の内省、確認と他者からの変容などを通じて価値観が変わっていく体験やご自身の経験を振り返って頂く形でもしバナゲームを実施し、ACPについての理解を深める講座を開催しております。
iACPの「もしバナゲーム」を活用するにあたって、「もしバナマイスター」の資格を取得したメンバーを中心に、活動を行っております。
〈運営主体について〉
「認知症に優しいまちづくり実行委員会」
〈取り組みをスタートした時期〉
2019年4月1日
〈取り組みのきっかけ〉
認知症と図書館をテーマに活動をしていたところ、認知症の方への終末期支援や家族支援を通じて、もしもの時の話し合いや意思決定支援の重要性を改めて考える機会があり、アドバンス・ケア・プランニングについても考えることになりました。認知症に優しいまちは人に優しいまち、そこから地域共生社会へとつながる取り組みとしてACPの市民普及啓発が重要と考え、市民向けにわかりやすく伝えていくツールとして「もしバナゲーム」を通じてACP普及啓発活動を進めていくこととなり、地域の社会福祉協議会の協力を得るなどして、市民向けに開催を行ってきました。
〈運営コスト〉
基本的には運営メンバーにもしバナマイスターがおりますので、運営資金等はかかりません。市民向け啓発活動の有用性などを伝えていく段階で、専門職向け及び、初期費用として助成団体として医療助成を受けるなどして冊子の作成などを行いました。
〈運営に必要な費用概算〉
特にありません。
〈持続させるための仕組みや工夫など〉
オンラインとハイブリッドを併用しつつ、実際に集まられた方に対する感染症対策として、カードゲームの使用方法を検討しながら、市民の皆様にご理解とご協力を得る形で、進めていく予定です。まちづくり団体やサロン活動などの集まりでのプレゼンを行っており、声掛けいただいたところに足を運んで開催する等の取り組みを進めております。
〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉
まずACPについて、医療・介護の専門職でも周知されていない状況にありましたので、活動に際しての理解を得ることが困難であったと思います。2018年3月に「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」が厚生労働省から発出され、その説明を踏まえながら専門職に向けてのACP普及啓発と並行して市民向けを実施するなどしていたことから、伝える際のポイントの違いなどがあり、改善を図りながら事業を進めていくことに苦労しました。
〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉
参加された方々から「やってみてとてもよかった」「今まで考えることがなかった」「もっと気軽に話し合いができることを知っておきたかった」といったポジティブな意見が多く、一度開催した後も「この後も何度か開催してほしい」と依頼があるなど、繰り返し実施することによる効果などもあるように思います。
ACPが決めるものではなく、話し合いを継続していくためのプロセスであることからそういった理解を多くの方が体験することでその有用性が伝わることをうれしく思います。
〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉
新型コロナウイルスの関係で、多くのサロンが閉鎖されていること、またカードゲームを4人一組で行う特性から感染症対策をした状態での実施が困難であることです。
オンライン開催も可能ですが、シニアにはオンラインが困難な方も多く、そういった補助的な対応も今後は必要だと考えております。
〈今後のビジョン〉
市民向けということで、大きな会場で一度にではなく、人の集まる身近なところに足を運びながらもしバナゲームなどを通じてACPを考えて頂く取り組みを進めていく予定です。
また、社会福祉協議会や医師会を始めとしたさまざまな団体との協働を進め、より多くの方に人に優しいまちに繋がる活動を行っていきたいと思います。
■事業名:市民向けACP普及啓発活動
■事業者名:認知症に優しいまちづくり実行委員会
■取材協力者名:大河内章三(認知症に優しいまちづくり実行委員会代表)
■事業所住所:〒458-0928 愛知県名古屋市緑区有松幕山211