〈コンセプト・特色〉
教育・研修事業
〈概要〉
医療・介護関係者の中にも、「意味不明な言動は認知症のせいだ」として、自分の関わり方や環境を見直さないケースがあとを絶ちません。そのような関わり方を「180度変える」をコンセプトに、「理由を探る認知症ケア」というアプローチを普及する講座提供を行なっています。あくまでも専門職への教育アプローチなので、特定の事業者等と提携して、利用者に対して特別なプログラムを提供しているという類の事業ではありません。
〈運営主体〉
「ペホス」私は、パラダイムシフトコミュニケーション®️を土台に、「人がより機能するために、どのような学びが必要か?」を探究し、『“理由を探る”認知症ケア―関わり方が180度変わる本』(メディカル・パブリケーションズ)を2014年に書籍として出版し、講座・講演・執筆を通して普及活動に取り組んでいます。
現在(2021年3月)は毎日新聞「医療プレミア」で同タイトルの連載を担当しています。他には、介護現場のリーダーを中心に、コーチングセッションも提供しています。
〈取り組みをスタートした時期〉
2014年7月
〈取り組みをスタートしたきっかけ〉
ケアマネジャーとして現場で仕事をしていたときに、専門職の「認知症」への向き合い方、関わり方に疑問をもっていました。そこて、Twitterでコラムとして発信を始めたのが2011年頃でした。一日一投稿していたそのコラムが450を超えた頃に、テキスト執筆のご縁が舞い込み、出版社の方と知り合い、書籍化の企画を提案しました。そして、書籍の出版をきっかけに、講座・講演・執筆の機会をいただくようになり、わたし個人に属していた観点を、広く普及できるようになったことがきっかけです。
〈運営コスト〉
研修事業ですので、ご依頼をいただく形でこれまで講座や執筆として、提供(展開)してきており、固定費のかかる形での展開は行っておりません。コロナ禍において、集合研修が開催されないため、現在は講座を自ら企画開催しています。今後も当面は、同じスタイルを維持するつもりですが、更なる広がりをもたせるための展開は未定です。
〈運営に必要な費用概算〉
5万円/月
〈運営資金の確保〉
自費
〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉
このコロナの影響はとても大きく、「理由を探る認知症ケア」を医療・介護関係者に届ける機会がぱったりとなくなってしまいました。そのため、オンライン講座としての提供を企画し、オンライン環境を整えて開催してきました。しかしながら、参加規模はかつてのように広く受講していただける状況になく、まだ創意工夫が求められていると感じています。
〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉
これまで多くの専門職に提供してきて、どの形で提供することが機能するのか、試してきました。いまは、「専門職あるある」の実例を散りばめながら話すようにしたことで、3時間や5時間の講座でも参加者が飽きずに参加できる講座になっており、参加者アンケートも実例を交えているのでわかりやすいと好評をいただいていて、わたしとしてもとてもやり甲斐を感じてきました。
〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉
利用者に提供するケアメソッド(手立て)ではなく、ケアを提供する専門職のアセスメント(見立て)の教育手法なので、①画像や映像で見た目にわかりやすいものではないこと②一部の人が重要性を感じてもチームで取り組むには限界があること ③介護現場では、さまざまなテーマ(看取り・感染対策・口腔ケア・コミュニケーション等)を学ぶ必要があり、その中のひとつの研修として義務的に受講して終わるケースが少なくないこと 等があります。
〈持続させるための仕組みや工夫など〉
現在は、オンライン上での展開を中心に行っています。オンライン講座を開催し、参加者が1人以上いれば開催するようにしています。Facebookグループ「理由を探る認知症ケア」を主宰し、情報共有機会をつくっていますが、まだ、こちらは十分な動きがつくれている状況ではありません。
毎日新聞「医療プレミア」では、専門職ではなく一般読者を対象に、「認知症になればなにもかもわからなくなるのではない」「一見すると不可解な言動の裏に、思いがけない理由が隠れている」ということを知ってもらうために小説風の読み物を提供しています。
〈今後のビジョン〉
繰り返しになりますが、ケアメソッドではないので、見た目にわかりやすい広がりは確認がしにくいところがあります。ただ、「理由を探る」という関わり方が当たり前になっていくように、コツコツと発信を続けていく考えです。海外での訳本の出版は夢としてもっていますが道筋はこれからです。Facebookグループでさまざまな“理由”に出会えるように、体験のシェアの仕組みをこれから構築していきたいと考えています。
認知症が怖さではない社会に成熟していくことについては、徐々にその方向へと進化していると感じます。「認知症になったら終わり」という価値観が、より小さくなっていくことを目指していきます。
■事業名:「理由を探る認知症ケア」普及事業
■事業者名:ぺホス
■取材協力者名:ぺホス(アプロクリエイト代表)