〈コンセプト・特色〉
誰でも気軽に相談できる居場所
〈取り組みの概要〉
現在は、駄菓子屋を併設している富山型デイサービスを経営していますが、認知症の方や障がい児、産後うつの方などさまざまな方が利用されます。そうした方々が、サービスの垣根を越えて、気軽に相談できる居場所カフェを経営しています。
〈運営主体について〉
「NPO法人おらとこ」
現在、NPO法人おらとことして、駄菓子屋併設の富山型デイサービス、小規模多機能ホーム、サテライト型を経営しています。
富山型デイサービスの基本理念は、赤ちゃんから障がい児を含め、高齢者まで誰でも利用でき、どんな相談も断らない、です。どんな問題も個性と捉えることで、「個性そのものを受け入れ、自分らしく生きられる社会になればよい」という理念で日々運営しています。
〈取り組みをスタートした時期〉
企画中です。
〈取り組みをスタートしたきっかけ〉
企画に至った過程は、駄菓子屋を併設していることで、必然と多様なかかわりができるのではないかと考えたことです。コロナ禍も相まって、人と人とのつながりが希薄になってきています。人は人の中で成長し、成熟していき、自分の存在を肯定できると思います。そうしたつながりをつくる居場所が必要だと感じたのが、企画発案のきっかけです。
〈運営コスト〉
運営資金の中で問題となるのが、人件費ですが、さまざまな個性を活かせば補えると思います。また、さまざまな相談に対応できる専門職の人件費の確保が一番の問題となっています。富山型デイサービスの場所はあるため、日曜日など行政機関が機能していないときの居場所になれればよいと考えています。
〈運営に必要な費用概算〉
10万円/月
〈運営資金の確保〉
自費、寄付、介護保険、その他の公的補助
〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉
人材の確保です。どの事業を行ううえでも、人材の確保が一番難しく、職員の人間関係にも苦労するところです。
乗り越え方は、問題が発生した段階で、双方の意見に寄り添い、早期に解決することです。少しの誤認知で人間関係は亀裂が入ります。そのため、職員を家族のように思い、対話を行うようにすることで今まで乗り越えてきました。
〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉
小規模多機能ホームを経営していくなかでは、看取りが必ず訪れます。人の死を体験させていただくことができ、また「病院で死にたくない」と訴える方々を、自宅のような空間で看取れることに事業を行うことの意義を感じます。
〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉
コロナ禍で、介護の現場は様変わりしました。
ユマニチュードを実践し、認知症状の悪化を抑えていきたいのですが、そうすることで感染リスクを背負います。そうした葛藤の中で、それでも利用者のためにと努力してくれている職員に、感謝として相当の対価を支払いたくとも、事業継続だけで精一杯です。
相手に触り、安心してもらい、一人じゃないと伝えたいのに、自分がもし感染していたら、その行為で、利用者を危険な目に遭わせるかもしれない不安、また、もし利用者が感染しており、自分の家族を感染させるかもしれない不安、ギリギリの精神状態のなかでも、「利用者のために」と理想と理念だけで、職員はついてきてくれています。
そこに報いてあげられないことが一番の悩みです。
〈持続させるための仕組み、工夫〉
自分たちだけで抱え込まず、さまざまな専門職や、専門機関と連携することです。そうすることで、一人の方をたくさんの支援者で支えることができ、連携していくことで職員のバーンアウトも防げます。
自分たちにできることの線引きを認識し、色んな知恵を借り、全体として地域に貢献していけることが、社会変化をもたらし、持続化できる事業になるのだと思います。
〈今後のビジョン〉
問題のある方の居場所については、さまざまな制度がありますが、そうした制度の狭間にいる人はいます。そうしたどこにもつながれない、拾ってもらえない、そうした方々の居場所をつくりたいです。
上で述べたように、持続していくために人件費は確実に必要です。事業として成り立ち、職員が生計を保てるような居場所の事業をつくりたいと思っています。
■事業名:いつでも誰でもおいでカフェ
■事業者名:NPO法人おらとこ
■取材協力者名:野入 美津恵(NPO法人おらとこ理事長)
■事業所住所:〒930-1312 富山県富山市上滝88番地7