〈コンセプト・特色〉
認知症のお年寄りが働くカフェ
〈概要〉
宅老所和が家に併設したカフェで、お年寄りが食事をつくり、提供する「ぐらんまんまカフェ」を営業しています。
毎週火曜日の12時から限定30食のランチの提供を行い、地域の方がお客として食べに来ます。毎月1回会議を行い、翌月のメニューを皆で考えます。ああでもない、こうでもないと言いながら、1時間から1時間半位話し合いを行います。話し合いで決まったメニューでチラシを作成し、地域の回覧板でお知らせすると、地域の人たちが来てくれます。手づくりの料理は地域の方々に喜ばれ、毎回さまざまな人が来てくれます。
※現在はコロナの関係で休止状態です。代わりに「ぐらんまんま子供食堂」を月1回開催し、手作りの弁当の配布を行なっています。
〈運営主体〉
「株式会社和が家」法人理念である「地域の和が家を目指す」目的で、地域活動を行っています。「ぐらんまんまカフェ」を運営する「宅老所和が家」のサービス種別は「小規模多機能型居宅介護」で、その利用者6人とスタッフ4人の計10名で切り盛りしています。
〈取り組みをスタートした時期〉
2016年5月7日
〈取り組みをスタートしたきっかけ〉
「宅老所和が家」の利用者は毎日昼食をつくっています。買い出しに行く人、食事の準備をする人、盛り付ける人、片付ける人など、それぞれ役割をもって日々を過ごされています。その能力を施設のなかでの役割で終わらすことなく、外に出そうと考えたのが「おばあちゃん食堂」です。
「おばあちゃん食堂」の名称は本人たちから却下されましたが、「ぐらんま」と「まんま」をつなげた、「ぐらんまんまカフェ」と命名されました。
〈運営コスト〉
ランチ650円のみの30食で計19,500円が運営資金になります。売り上げを伸ばすためには、“お年寄りが提供する”という部分を売りにするのではなく、食事がおいしいことが必要になります。メニュー構成を魅力あるものにし、お客さんに納得感をもってもらうことで、持続可能となります。
〈運営に必要な費用概算〉
650円×30食×4週=78,000円
〈運営資金の確保〉
自費、寄付、介護保険、売り上げ
〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉
開店当初は、認知症のお年寄りがつくる料理との認識から、来店するお客さんからは色眼鏡で見られることもしばしばでした。営業日数を増やして行く中で、お客さんの認識が、“認知症のお年寄り”ではなく、“個性あふれるお年寄り”が提供する料理、と変化してきたことで、リピート客が多くなりました。メニューによって来店客数が変わるため、過去の記録を参考に季節感あふれるメニュー構成にしました。また、取り組みを知ってもらうためにメディアに取り上げていただき、周知を図りました。
〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉
施設に“利用者”として来ている人よりも、働くことを目的に来ている人のほうが生き生きしている見えることからも、やり甲斐や喜びを感じていたと思います。お客として来店された地域の方々にも、「年を取ってもこんなにも元気でできることがあるんだ」と感じていただけました。
〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉
営業日により来店客数が少ないときは、せっかく心を込めてつくった食事を提供できない寂しさは皆ありました。また、現在はコロナの関係で営業できていないため、施設と地域をつなぐ活動ができない残念さがあります。ただそこで活動を止めるのではなく、できることを探して「ぐらんまんま子供食堂」を開催し、お年寄りのもつ力を地域と結びつけています。
〈持続させるための仕組みや工夫など〉
目的をはっきりさせ、何のために行うのかを明確にすること。仕組みを考えること。何より、楽しむことが大切だと思います。ぐらんまんまでいえば、お年寄りのもつ力を地域とつなげることです。おいしい料理を皆に食べてもらう。喜んでもらう。限定30食を完売した達成感など。そしてその取り組みを多くの方に知ってもらうことがやり甲斐につながり、活動も持続していくと思います。
〈持続させるための仕組みや工夫など〉
コロナ禍で「ぐらんまんまカフェ」が休止して1年になります。代替えではありませんが、別立てで行なっていた「ぐらんまんま子供食堂」を月一回開催しています。コロナが終息に向かい、またぐらんまんまカフェの営業が再開できることを望んでいます。また、お年寄りのもつ力を、カフェ以外でも地域と結びつける活動を展開していきたいと思います。
■事業名:ぐらんまんまカフェ■事業者名:株式会社和が家■取材協力者名:今井 祐輔(株式会社和が家代表取締役) ■事業所住所:〒394-0034 長野県岡谷市湖畔4-1-27 ■サイト:https://wagaya.co.jp/