〈コンセプト・特色〉
コロナ禍で孤立し、健康不安や生活困難をかかえるシニアに対して、オンラインによるつながりづくりを通して、生活支援を行います
〈運営主体について〉
「市民団体UDワーク」
UDワークは、作業療法士・学生を中心に地域住民、要介護当事者と協働し、社会参加や自己実現活動に取り組むコミュニティであり、実践団体です。2014年よりつくば市を中心に活動しています。これまでにコミュニティマーケットへの出店や外出、勉強会などを実施しています。
〈取り組みをスタートした時期〉
2020年4月3日
〈概要〉
シニア支援型オンラインサロンのトライアルを開始し、地域のつながりを保つことで、孤立するシニアの生活や健康をサポートすることを目標としています。地域活動のオンライン化をサポートし、参加者であるシニアのオンライン技術のサポートを行っています。
〈取り組みのきっかけ〉
シニアの社会参加を進めるためにICT活用を検討しており、スキルマッチサイト「イベントキャンバス」やシニア向けICT教育プログラムの開発を行っていました。その技術を用い、コロナ禍で社会参加から生活支援のためのオンラインサロン開設へ移行しました。
主に、ストップしてしまった地域活動のオンライン化を進めることで、シニアの生活活動を再開させることを目的としています。
〈運営コスト〉
まずはクラウドファンディングを35日間、2020年5月1日より実施しました。
また、コロナ関連の助成金である「誰かのために基金(いばらき未来基金)」や「JANPIA休眠預金口座活用基金(内閣府)」の助成を受けました。企業向けプログラムの提供を行っており、今後事業化を予定しています。
〈運営に必要な費用概算〉
5万円
〈運営資金の確保〉
寄付、クラウドファンディング
〈持続させるための仕組みや工夫など〉
シニアの参加者の声を聴きながら、シニアが求めるサービスづくりを行っています。「関心はあるが誰に聞いていいかわからない」「一人で好きなときに練習をしたい」という声に対しては、専用サイトに「はじめて読本」というコンテンツを作成し、一人でも学べるチャットボットを準備しています。
また、サポートを容易にするために、テキスト作成やボット活用を進めています。予約管理システムや情報配信についても整備しています。
〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉
多くのシニアは、オンラインサロンの経験が少なく、ICTリテラシーを高めることが必要です。これまでの実証から、初心者でもできるサポート体制を構築しました。
また、ICTに関する警戒心やそもそも高齢者には難しいといった風潮から、一歩踏み出すことに至らない方が多くいました。モチベーション作りやまずは体験会を行うこと、そして参加されたシニアの声を届けることでその輪を広げています。
〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉
苦労して学んだシニアの方の、次のようなその後の活用方法を聞くことができてよかったと思います。
・遠方の家族とビデオ通話を行い、継続的なやりとりを始められた
・自粛している子どもたちに向けて、得意の英語でオンラインレッスンを始めるようになった
・好きなハードロックに関するサロンを開設し、初めて会う人たちと一緒にロック談義に花を咲かせている
上記の方は認知症当事者でもあります。これまで社会と隔絶されていたマイノリティの方にとっては、特に場所などの制約をなくす手段となります。
〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉
独居や老老世帯こそコロナ禍では孤立しやすく、オンラインサポートが必要ですが、そこへアクセスすることが難しいといえます。そこで、現在その方をサポートしている民生委員や社会福祉協議会(社協)などに協力を求めながら、サポートの輪を広げるプラグラムづくりを行っていく予定です。
〈今後のビジョン〉
今後も高齢者の社会生活・活動が制限されることになり、リスクが高まれば社会参加が行えなくなります。withコロナ時代では、社会参加方法を補償される必要があります。直接会えるだけでなく、オンラインで自宅でも参加できる、別サテライト会場で参加できるなど多くの補完的な参加の仕方を作る必要があるでしょう。そのために様々なあり方を試行することが重要であると考えています。
現在、各地域のシニア団体とのネットワークや情報連携を進めています。地域を越え、生活に幅のある新しい生活様式づくりを目指します。
■事業名:つくばオンラインチャレンジ(シニア支援型オンラインサロン)
■事業者名:市民団体UDワーク
■取材協力者名:前田 亮一(市民団体UDワーク代表)
■事業所住所:〒305-0031 茨城県つくば市吾2-5-1 つくば市産業振興センター つくばスタートアップパーク内
■連絡先:info@eventcanvas.jp