〈コンセプト・特色〉
現役世代が、子育て、介護、仕事を両立できる社会に向け、ダブルケア支援整備の促進と多世代共生社会の実現を目指しています。
〈概要〉
子育て×介護のダブルケアは、複合的課題であるが故に、当事者に支援が届きにくい現状があります。ダブルケアは、子育てが終わるまでに36.6%の方が経験するといわれています。当法人は、ダブルケア当事者の声を自治体・介護保育の支援者に届けるために、武蔵野大学との共同研究や、啓発セミナー、カフェを通して情報発信を行い、ダブルケア支援整備促進と多世代地域共生社会の両輪の実現に向けて活動を行っています。
〈運営主体〉
「NPO法人こだまの集い」介護・保育専門職(介護事業所・保育園経営者、介護事業所管理職)ならびにダブルケア当事者・経験者で構成された団体で、約10人のメンバーがいます。ダブルケア当事者と行政・支援者の、中間支援のような立場を担っていきたいと思っています。当事者のヒアリングを行い、当事者の困りごとや望む支援について、行政や支援者に届きやすい内容に整えて伝えていくことを目指している団体です。
〈取り組みをスタートした時期〉
2019年10月1日
〈取り組みをスタートしたきっかけ〉
私は2017年にダブルケアを経験し、複合的課題については制度が縦割りゆえに、取りこぼされてしまう人がいることを知りました。子育て、介護、仕事の両立の仕方について必要な支援や情報が得られない現状のなか、子育て世帯の36.6%がダブルケアを経験するというデータもあります。また、今後ダブルケアに直面する人は、少子高齢社会で増加の一途をたどっていきます。速やかにダブルケア支援制度を促進し、現役世代が、子育てと介護が重なっても就労を継続できる仕組みづくりを目指したいと考えました。
〈運営コスト〉
事業に必要な費用に関しては、助成金を申請しています。ですが、現金で支払う必要のある経費もあり、それについては会員費や講演や執筆で得た収益を当てています。また、銀行からの融資も活用しながら、NPO法人の運営を行っています。
〈運営に必要な費用概算〉
3万5,000円/月
〈運営資金の確保〉
自費、その他の公的補助
〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉
これまでに苦労したことは、さほどありません。強いていうなら金銭的な面ですが、2020年度は、助成金にプラスして融資や給付金等を得ることができたため、運営は安定しています。2021年度も継続的なマネタイズをいかに得ていくかという点は、課題になってくるかと思います。
〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉
当法人は、プロボノの支援をいただいて活動が展開してきています。具体的には、東京都福祉保健局主催の東京ホームタウンプロジェクトという、地域共生をテーマにしている支援団体に向けたスキルを活かした支援をいただきました。活動パンフレットを作成してもらったことが、当法人の活動を広く周知できるきっかけになりました。
また、もう一つのプロボノ支援については、当法人が事務所として利用しているコワーキングスペースのアドバイザーで、マーケティング業界のエキスパートであるアタラ合同会社様に、NPO法人向けのグーグル広告のサービスの導入についてご支援をいただきました。
助成金を得て行っている、啓発セミナーやワークショップ、座談会について、広く周知できるツールを得られた点は、非常によかったと思っています。
〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉
現在2期目ですが、主に代表理事の室津が中心となり、必要な部分に関してはメンバーのサポートを得ながら活動してきた状況です。今後、団体のメンバーのもつ、やる気や強みを生かした活動を行うために、チームビルディングについて一旦立ち止まり考える必要があると感じています。来年度に向けて、メンバーが主体となって活動できる仕組みづくりが望まれると感じており、課題であります。
〈持続させるための仕組みや工夫など〉
上記とリンクしますが、活動を持続させるためには、代表理事が主体となる状況よりも、メンバーが主体的に動ける仕組みを構築する必要があると考えています。2021年度は、メンバーが何に関心をもって当団体の活動に賛同しているのかを確認し、ダブルケアカフェ、セミナー、研究のどの部分を担ってもらうか、役割を決めながらチームビルディングの調整を行っていきたいと思います。
そのために、今一度、当団体のミッション「ダブルケア当事者と行政・支援者のかけ橋になる」と、ビジョン「現役世代が、子育て、介護、仕事の両立を目指せる社会の仕組みづくり」について、活動の方針を共有し、確認しながら、チームで動いていきたいと考えています。
〈今後のビジョン〉
2021年度は、武蔵野大学の研究を通して、ダブルケア当事者の困難感と望まれる支援について明らかにする活動を行っていきたいと思います。研究の成果を、勉強会という形で、当事者並びに自治体・支援者に還元できる機会を設けていきたいと考えています。また、継続して、セミナー・ワークショップ・座談会を通して、当事者や現役世代の課題やニーズについてヒアリングを続けていきたいと考えています。当事者と自治体を結びつける、支援サービスの構築を目指していきたいと思います。
■事業名:こだまの集い
■事業者名:NPO法人こだまの集い
■取材協力者名:室津 瞳(NPO法人こだまの集い代表理事)
■事業所住所:〒167-0042 東京都杉並区西荻北2-3-9コメットビル6階