〈コンセプト・特色〉
認知症の高齢者を一般雇用する飲食店
〈運営主体について〉
介護福祉士の養成校を卒業し、介護老人保健施設で17年の経験をするなかで、介護保険制度の枠のなかだけでなく、一般社会でも輝ける、活躍できる場所があるのではないかと考えていたときに、「注文をまちがえる料理店」の取り組みを知り、一念発起して認知症当事者が働ける常設のお店をつくろうと決め、合同会社cityriverstyleを立ち上げ、飲食店をオープンさせました。
今後も、高齢化社会を笑顔でデザインすることを理念に、おじいちゃんおばあちゃんの笑顔をつくっていきます。
〈取り組みをスタートした時期〉
2019年4月15日
〈概要〉
認知症と診断された60~80代のおじいちゃんおばあちゃんを、介護保険ではなく愛知県の最低賃金をお支払して雇用する、沖縄そば屋さんです。
おじいちゃんおばあちゃんは、ランチタイムの11~14時まで皿洗いや接客などのお仕事をされています。スタッフは地域包括支援センターに声かけをして、働きたい人を募集しました。高齢者の問題である送迎は、ご家族が送迎する方もいれば、有償ボランティアを活用し出勤するほか、僕が送迎をしています。
〈取り組みのきっかけ〉
介護保険制度の枠のなかだけでなく、一般社会でも輝ける、活躍できる場所があるのではないかと考えていたときに、「注文をまちがえる料理店」の取り組みを知り、一念発起して認知症当事者が働ける常設のお店を作ろうと決意しました。
〈運営コスト〉
開業資金は、想いに賛同してくれた介護施設経営の社長が立て替える形で資金の支払いをしてくれて、毎月返済しています。
事業としては、飲食店なので、毎日食事に来てくれることが大事になります。そのためにはお店を好きになってくれることが大事と思い、ファンクラブ制度をつくったり、子ども中心のイベント企画、地域高齢者が集まる予防体操の場として開放したりしています。
〈運営に必要な費用概算〉
100万円
〈運営資金の確保〉
自費
〈持続させるための仕組みや工夫など〉
とにかくがんばることです。今の環境に妥協することなく常においしい、うれしい、楽しいを提供できるように努めることです。あとは、動線です。働く環境もあれば、通える場所もあって、生活できる場所もあるというような環境、それらを一体化できる場所づくりを計画している段階です。
〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉
コロナ禍による飲食店の営業自粛や時短営業です。
インターネットサイトで前売りチケットを販売したり、当初急遽学校が休みになったことから、子どもたちにハーフサイズのそばを無料配布したりしました。ただ、一年経った今でも集客に苦しんでいるので、乗り越えられていません。
〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉
ちばる食堂はやってよかったと思います。認知症高齢者に新たな選択肢をもたらすことができました。
認知症になり、独り暮らしで不安と隣り合わせで生活するなかで、施設利用や施設入所だけでなく「働きたい」という気持ちを叶えられる場所になったのかなと思います。
〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉
ちばる食堂では、まだ4人のおじいちゃんおばあちゃんしか雇用できていません。
全国広しといえども、一般雇用に繋がる場所が展開されていないこと、また、人は老いるので働けなくなったときの安心できる行き場を用意できていないことです。
〈今後のビジョン〉
上記でも述べたように、働く、生活するが一体化でき、徘徊を徘徊と思われない地域の関係性が構築されたまちづくりを考えています。
■事業名:ちばる食堂
■事業者名:合同会社cityriverstyle
■取材協力者名:市川 貴章(合同会社cityriverstyle代表社員)
■事業所住所:〒444-0851 愛知県岡崎市久後崎町キロ7-1
■サイト: