〈コンセプト・特色〉
健康づくりを担う地域住民の養成
〈概要〉
地域住民に、理学療法士などの国家資格取得者が健康に関する知識とカラダづくりの体操の方法を伝え、10時間の講座の終了者をサポーターとして認定しています。サポーターが、地域で体操を手段として、ソーシャルキャピタルを醸成することを目指しています。宮城県内で、これまでに約130名のサポーターを養成しました(うち石巻市約90名、石巻市以外約30名)。2017〜2018年は86カ所で体操教室を実施し、約1500名の住民が参加しました。
〈運営主体〉
「一般社団法人りぷらす」2013年5月に、東日本大震災の最大の被災地である、宮城県石巻市にて事業を開始しました。「子どもから高齢者まで、病気や障害の有無に関わらず、地域で健康的に暮らし続けることができる社会を創造する」ことを理念に活動しています。
具体的には、介護・障害福祉事業として、障害児〜高齢者の共生型のデイサービスを、コミュニティーヘルス事業として、「おたからサポーター」の養成と地域在住の高齢者への集いの場を実施しています。仕事と介護の両立支援事業としては、介護うつ、介護離職予防のための事業を実施しています。
〈取り組みをスタートした時期〉
2014年8月1日
〈取り組みをスタートしたきっかけ〉
東日本大震災の最大の被災地である宮城県石巻市では、コミュニティーが大きく変化し、健康状態の悪化が顕著でした。限られた人数の専門職で、地域住民を支える仕組みが必要とされていたため、体操を手段としたソーシャルキャピタルの醸成を目指すプログラムを開発しました。
〈運営コスト〉
立ち上げから仕組みの開発期には、主に助成金と他事業の収益を、モデル移転期には、協働事業者からの費用を主な運営資金としています。
仕組みができてしまえば、主なコストは人件費となります。人件費を、経費というより投資という側面でとらえ、組織の人材育成を行っています。
〈運営に必要な費用概算〉
約20万円/1回の講座実施
〈運営資金の確保〉
自費、自治体予算、協働事業先
〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉
①人材を育成しても活動者にならない 講座の仕組みを毎回改良し、参加のハードルを低くしてきました
②受講者を集めるのが大変 活動の初期には、自治体の助成金を活用し、募集チラシに自治体名を載せることで信用を得ていました。また、プレスリリースや回覧板などで、地道に認知度を高める努力をしました。
③担い手となる専門職の確保 全国から募集し、なんとか確保していますが、まだ課題となっています。
〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉
①想像以上に住民のチカラがすごい
ある地域では、100名くらいの住民を民生委員などと協力して集めて実施しました。また、他の地域では、子どもと一緒に他世代交流の機会として実施しました。
②個性が強みになる 話すのが上手な方も苦手な方も、活動を続けていくと、その人のよさが磨かれていきます。 ③自信がついて就労につながるケースもあった 30代の子育て世代の女性が、活動を通じて自信を獲得していき、自身の就労につながったケースもありました。
④早期に専門家に繋がることができた
介護に関する知識を学ぶことで、早期発見につながり、適切な専門家につながりました。
〈持続させるための仕組みや工夫など〉
2020年度は、「みやぎ生活協同組合」「特定非営利活動法人地域生活支援オレンジねっと」と協働し、事業を実施しました。「みやぎ生活協同組合」との協働では、健康づくりの担い手「きらきら健康サポーター」の養成を開始しています。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000057258.html
今後も、民間の企業や、コミュニティーづくりや生活支援などを行なっているNPOなどと協働し、必要とする人と仕組みを広げていきます。
〈今後のビジョン〉
新型コロナウイルスによって社会的孤立が深刻化し、今後の高齢化の問題をさらに悪化させていますが、この傾向は日本だけのものではなく、世界においても同様だと考えられます。今後は、国内外を問わずさまざまな団体や組織と協働し、日本の市民のエンパワメントによる社会的孤立の予防の仕組みとして、このモデルを移転していきたいと考えています。
■事業名:おたがいカラダづくり(おたから)サポーターの養成事業
■事業者名:一般社団法人りぷらす
■取材協力者名:橋本 大吾(一般社団法人りぷらす代表理事)
■事業所住所:〒986-0101 宮城県石巻市相野谷字今泉前29-3