〈コンセプト・特色〉
認知症患者さんは、「摂食・嚥下障害」に悩まされることが多いのですが、外来診療を受けることはありません。在宅で「摂食・嚥下障害」があり、うまくコミュニケーションが取れない患者さんを見つけたら、多職種連携で「S-SPT嚥下誘発試験」と「在宅嚥下内視鏡によるVE検査」を行っています。 機器による評価を含めた適切で客観的な評価により、患者さんやご家族に適切なアドバイスをし、その選択を尊重し、配慮することができます。多職種連携では、在宅での地域生活を支援するための「栄養」「口腔ケア」「リハビリテーション」のトレーニングも可能です。
〈取り組みの概要〉
さまざまな職種のスタッフや多職種のユニットに、月1~2回、ワークショップを実施しています。参加者は、約12~30名です。
歯科医師1名と介護職員2名による訪問歯科サービスでは、在宅の訪問歯科患者40~50名、在宅の嚥下障害患者10~15名を毎月訪問しています。
〈運営主体について〉
華南歯科医院、高雄市長期療養発展協会、台湾在宅医療協会による共同運営
〈取り組みをスタートした時期〉
2018年10月20日
〈取り組みのきっかけ〉
2018年9月に「日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会」に参加し、藤田保健衛生大学の才藤栄一先生、東京医科歯科大学の戶原玄先生からご指導・ご鞭撻をいただきました。
〈運営コストについて〉
現在は、寬安牙醫診所(Kuan On Dental Clinic)の訪問歯科の収入で運営しています。 現在、このクリニックで対応できるのは、入所している少数の患者さんのみで、自宅での認知症患者さんの嚥下能力の評価は、無償のボランティアサービスとなっています。
〈運営に必要な費用概算〉
150000~200000台湾ドル
〈運営資金の確保〉
健康保険
〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉
資金や人材の必要性は、訪問歯科事業の成長とともに徐々に克服されています。
〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉
より多くの資金と人員を投入して、より多くのユニットと、より多くの医療従事者を誘致することができれば、在宅の認知症や嚥下障害の高齢患者さんに対応することができます。
〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉
いくつものユニットや多職種のためのワークショップを行ったり、患者宅への訪問を手配したりするには、より多くの資金が必要です。
〈持続させるための仕組みや工夫〉
ボランティアの訪問や夕食会を通じて、より多くのサポートや支援を受けたいと考えています。
〈今後のビジョン〉
アジアの高齢化・超高齢社会への変化の過程で、認知症、フレイル、肺炎、コミュニケーション障害、咀嚼・嚥下障害などの患者が増加しており、より一層の在宅評価と栄養サポートチームの多職種連携が求められています。今後も国を超えた交流の機会を持ち、嚥下障害のある患者さんの住宅ケアや、肺炎にならないためのケア、高齢者が老後も自宅で生活するという理想の実現に向けて、世界の専門家と議論していきたいと思います。
■事業名:寬安牙醫診所
■事業者名:林易岳
■取材協力者名:林易岳
■事業所住所:高雄市左營區明誠二路332號B1-3