〈コンセプト・特色〉
分断社会になった日本で介護事業を使って壁を壊す
〈概要〉
前提として、そもそもの介護保険の在り方を遵守しつつ、現状では高齢者ばかりに振り分けられる社会保障費を、子育て世代や、子どもたち、障害のある人など、すべての人が心地よいプラットフォームをつくるために拓いていくことを実行しています。
〈運営主体〉
「株式会社あおいけあ」
小さな営利法人です。スタッフは45名程になります。18歳から77歳までのスタッフが介護の仕事をしています。多くのスタッフは介護系の資格をもたない段階から働き始めることが多く、生え抜きで成長していきます。
〈取り組みをスタートした時期〉
2000年3月1日
〈取り組みをスタートしたきっかけ〉
代表の私自身が学生時代に介護の勉強等は一切しておらず、成り行き上、しかたなく働き始めた特別養護老人ホームで目の当たりにした高齢者介護の現実に、失望を感じ嫌悪感を抱きました。その後、介護保険制度のスタートにあたり、自分の職場を作るために、グループホームの運営を目的に事業を始めました。
〈運営コスト〉
基本的には介護保険収入のみでの運営になります。そのほか資金としては地銀や政策公庫からの融資と、代表からの補填などになります。小さな会社で無謀なチャレンジはできないため、ある程度、精査してからでないと新規事業の立ち上げはしません。
〈運営に必要な費用概算〉
1,000万円/月
〈持続させるための仕組みや工夫など〉
会社の構成員であるスタッフが働きやすい環境をつくることです。社会保障なので賃金で報いることはできませんが、会社の目的を「より良い人間関係の構築」とすることで、正論を振りかざしたりすることなく、相手が受け入れやすい関係の中で仕事をすることを目指しています。
〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉
地域包括ケアをめざして、2007年に小規模多機能型居宅介護に着手しましたが、制度の周知がほとんどなされなかったため、しばらくの間、利用者が集まりませんでした。そのほかとしては、国内外である程度有名になってしまったこともあり、見学希望者や講演などに時間をとられてしまうことです。
〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉
物理的に建物の周囲の壁を壊したことにより、地域の人が自然に集まります。カフェやコミュニティレストラン、駄菓子屋、書道教室などがインサイトされていることで、福祉やボランティアではなく、地域住民が当たり前に集う場所になっています。スタッフの家族もだいたい毎日来ています。子どもを連れて出勤しているスタッフも多くいます。高齢者以外に、恩恵を受けた事例がたくさんあります。
〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉
介護保険はスケールメリットで売り上げが出るので、潤沢に儲かるわけではありません。コロナ禍で、人を集める取り組みやイベントができない状況です。自社の勉強会だけでも、一番小さな規模で100人以上の参加があるため、やりにくくなってしまっています。
〈今後のビジョン〉
超少子高齢化に加えて急激に人口が減少する社会のなかで、社会保障費に依存するのではなく、市民が自分の健康に関心をもち、最期の瞬間まで自分らしく生ききる意識を醸成していくためのデザインを考えていきたいと思います。
■事業名:「あおいけあ」~地域密着型サービスを使った共生プラットフォーム
■事業者名:株式会社あおいけあ
■取材協力者名:加藤 忠相(株式会社あおいけあ代表取締役)
■事業所住所:〒252-0813 神奈川県藤沢市亀井野4-12-15