〈コンセプト・特色〉
高齢者によるハンドメイド雑貨制作販売
〈概要〉
デイサービスさんぽ道は、1日10名定員のデイサービスです。約8割の方々が認知症を患っておられます。1日を通してハンドメイド雑貨制作を行い、現在は1年に一度展示販売会「one day shopサンポミチ」を開催しています。お一人おひとり、それぞれに色々な種類の雑貨を制作しています。
〈運営主体〉
「株式会社Walk With You」介護保険事業による通所介護、介護予防通所介護、デイサービスさんぽ道を運営しています。また、介護事業以外の他企業様とのコラボレーションの企画等も行っています。
〈取り組みをスタートした時期〉
2011年11月1日
〈取り組みをスタートしたきっかけ〉
介護職として働くなかで、「認知症だから」「高齢者だから」と決めつけている活動に疑問を感じました。年を重ねだんだんと役割がなくなり、社会との繋がりがなくなるなかで、手が覚えている記憶を辿って、役割のある活動ができる取り組みをと、ハンドメイド雑貨制作販売の取り組みを開始しました。
〈運営コスト〉
主となる運営資金は通所介護事業の介護保険となります。事業の持続性を確保するために、展示販売会の開催だけではなく、他企業様から雑貨制作の依頼を受けるなど、制作目的を色々と増やすことで、皆さんのモチベーションも上がるように工夫しています。
〈運営に必要な費用概算〉
制作費用(材料費)5万円
〈運営資金の確保〉
自費、寄付、介護保険
〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉
通所介護事業所としては今までにない取り組みでしたので、周りに知っていただくことから始めました。世間が認知症に対してもっている、何もできなくなるというイメージを、見学を通してそうではないとわかってもらうことが大変でした。針を使うのは、ハサミを使うのは非常識ではないか、といわれたこともありました。
しかし、お一人おひとりに裁縫ボックスと制作ボックスを準備することにより、しっかりと安全性を確保することができました。また、販売会を開催することで、できないのではなく、できる環境がなかっただけだということを知っていただくことができました。
〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉
取り組みを進めることで、お一人おひとりの表情が、自信のあるものに変わっていきます。また、社会参加の機会が増えることが、精神的な安定にも繋がっています。役割のある活動で、もう一度「生きる意味」を見い出すことができています。
〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉
認知症の進行により、今まで通りに活動ができなくなった際の制作内容変更等の判断のタイミングが難しく思います。お一人おひとりの得意分野をしっかりと見極めることが必須だと思うのですが、制作者本人の思いと、実際にできることとに差があった際の対応に、最近は難しさを感じます。
〈持続させるための仕組みや工夫など〉
お一人おひとりそれぞれの個人制作ボックスがあることで、制作意欲がわき、自主的な活動がスムーズに行え、自身のやるべき活動が明確になっています。また、皆さんご自身が自ら活動を開始することができる環境となっているため、利用者主導の取り組みが確立していることが、持続している一番の理由だと思っています。
〈今後のビジョン〉
介護保険事業の枠だけではなく、高齢者の就労、認知症の方々の就労の場づくりを、モノづくりを通して行うことができればと思っています。また、他企業からの制作依頼の受け入れを拡大していきたいと考えています。
■事業名:ハンドメイド雑貨制作販売「sanpo's made.」
■事業者名:株式会社Walk With You デイサービスさんぽ道
■取材協力者名:田代 圭吾(株式会社Walk With You代表取締役)
■事業所住所:〒811-0212 福岡県福岡市東区美和台7丁目18-5
■事業所メールアドレス:wwysanpomichi6@yahoo.co.jp