〈コンセプト・特色〉
「地域」と「人」にフォーカスした、介護の「今」を伝えるタウン情報誌
〈概要〉
介護Timesは、隔月偶数月の15日にリアルタイムな情報を発信。介護に携わる職員の顔が見える紹介記事や、地域の特色に特化した情報を掲載しています。フリーペーパーとして、東京23区内の介護施設5,000カ所、全国の介護施設と介護関連企業・自治体2,000カ所の計7,000部を発行しています。2021年2月号から「全国版」となり、ウェブサイトよりPDFデータで閲覧可能になりました。
〈運営主体〉
運営主体である株式会社是眞は、東京都北区にある宗教法人正光寺のグループ企業です。正光寺は800年の歴史あるお寺であり、保育・介護事業も行っています。また、合同会社福祉クリエーションジャパンとの業務提携によって、1社だけの目線ではなく複数の目線での運営を行っています。
〈取り組みをスタートした時期〉
2019年12月1日
〈取り組みをスタートしたきっかけ〉
私自身が、介護福祉士、レクリエーション介護士として、メディアに特集やコラム連載を組んでいただいた経験から、介護業界で働く職員にスポットライトが当たる大切さを実感しました。リアルタイムに情報発信することで、身の回りのすばらしい変化を感じ、本当の価値をきちんと「見える化」することができます。地域や介護現場のリアルを、今以上にタイムリーに届けたいと決意し、事業を開始しました。
〈運営コスト〉
地域にフォーカスするフリーペーパーというメディアの特性もあり、スタートアップ資金は地方銀行、信用金庫等の支援をいただきました。事業の持続可能性を確保するためには、協賛企業からの支援は必須です。企業によっては、商品についてのヒアリングや実証検証などを介護職員と連携することで、運営費用を賄っています。また、フリーペーパーは郵送と手渡し、設置と分類することで、大幅な郵送費の削減を行っています。手渡しや設置にご協力いただいてる方々については、メディアの特性を活かして、誌面で独自にご紹介もさせていただいています。
〈運営に必要な費用概算〉
100万円/月
〈運営資金の確保〉
自費、協賛企業
〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉
まず、メディアに関する知識がまったくありませんでした。そこで、介護タウン情報誌の先駆者であるTOWN介護Gunma様のご支援で、フリーペーパーのノウハウを勉強しました。また、創刊号を発行する前に、創刊準備号を発行することで段階的にステップをつくり、発行エリア、部数を徐々に広げていきました。内容の精度向上と、支援者を徐々に増やしていく事業計画を作成し、実行に移しています。実行に移すために、ビジョンを明確にし、自らが自らの言葉で発信していく大切さを実感しています。
〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉
たくさんの応援者・支援者によって活動を継続することができ、1人の応援者から2人、3人、4人と応援者の輪が大きく広がってきていることを実感しています。また、取材や対談を通して、社会や地域の課題が明確になりました。「社会課題を伝える」ところまでで終わるメディアではなく、その課題を解決するためのきっかけ創りをし、ハブ的な立ち位置になることで業界や地域を超えた取り組みに発展させています。たくさんの方々の知識や経験、知恵を混ぜ合わせることで、多くの課題が解決できる可能性を感じています。
〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉
事業開始が2019年12月でしたが、創刊号の2020年4月号以降、新型コロナウイルスの影響により、事業資金面から継続が困難になるのではないかということについて検討しました。しかし、この社会情勢だからこそ、撤退ではなく継続という決断をしました。継続するための事業資金の確保に向けて、フリーペーパーの冊子だけでなく、ウェブサイトやSNSも効果的に活用できるメディアを創り上げることに挑戦していますが、やはりまだまだ知識不足もあり確立までには至らず、挑戦という段階です。しかし、挑戦していく段階をメディアとして発信していくことにも意義があり、大切なことだと考えています。
〈持続させるための仕組みや工夫など〉
コンセプトを徹底的に追及することに専念しています。「地域」にスポットを当てるのであれば、その地域に住む住民にライティング、記者をお願いすることからスタートです。次にその地域でサービスを提供する企業や団体、関係者にアプローチします。課題解決の企画であれば、答えや結果だけを伝える記事にするのではなく、課題抽出の段階も伝え、記事にします。そのことで多くの方々が、課題を自分ごととしてとらえてくれていると実感しています。また、段階的に発信することで、経過をリアルに追うことができます。進行具合に合わせて応援者や支援者が徐々に増えていくように心掛けています。
〈今後のビジョン〉
介護の問題は、介護現場で働く職員だけでは解決できません。介護があたりまえに人の生活のなかに存在することができるように、垣根を越えてたくさんの業界が手を取りあえるような環境を、メディアというハブで創っていきます。また成人だけに伝えるのではなく、子どものときから自然と介護に触れ、介護について知ることができる環境も創っていきます。
■事業名:介護Times
■事業者名:株式会社是眞
■取材協力者名:藤井 寿和(株式会社是眞編集長)
■事業所住所:〒115-0041 東京都北区岩淵町32-11